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& BONO  インテリアデザイン、あれやこれや

インテリアデザインのこと、インテリアコーディネーターの仕事のこと、日常でのデザインの話、大好きなホテルの話などを綴ります

今右衛門×柿右衛門展 伝統と革新のはざまで生まれる美

アート

前回に続き「今右衛門×柿右衛門展」第二弾!

 

今回は柿右衛門の作品の紹介。

柿右衛門は日本の陶工で知らない人はいない名前。また日本のみならず「柿右衛門の赤」は何と1670年代からヨーロッパに輸出され、今では世界中にその名前が知れ渡っています。

 

でも、実際の作品をみて「赤」以上に感銘を受けたのが、今回初めて知ったのがその地の白。実はあの地の白は歴代の当主のみが使用を許される「濁手素地」という乳白色に近い白が本来の色で、当主以外が使う真っ白に近い白と比べると違いがわかります。

 

実際、真っ白の地も素敵ですが、乳白に近い白の地にあの柿右衛門の赤が主張することもなく馴染んで何ともいえない作品となっていました。

濁手素地あっての「赤」。今回の展覧会の大きな収穫でした。

 

では実際の作品の一部を紹介します。

 

 

写真は十四代柿右衛門「濁手三方割地文深鉢」直径34cm高さ14.8cm

江戸時代から途絶えていた濁手素地を昭和28年に12代と13代が力を合わせて復活させたそうで、この作品も復活した濁手とのこと。

地の模様も素敵です。

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下の写真は「濁手蓼文鉢」直径53.5cm高さ11cmの大作です。

写真では濁手の白が全く表現できないのが残念ですが、余白の余韻だけでもわかってもらえればと思います。

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これは晩年の作で「濁手桜文花瓶」直径39cm高さ46.5cm

桜は晩年になって描いたモチーフ。実際に赤い桜は無いにもかかわらず、見事な花を咲かせていてあでやかでいて品のある作品でした。

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今右衛門もそうでしたが、柿右衛門も野に出て実際の草木をスケッチして歩いたそうで、佐賀を中心にした九州の自然が見事に描かれているので、とても身近に感じました。

 

また柿右衛門は作品以上にその言葉も心に響きました。

「あの酔うような赤に比べれば、まだまだ努力すべきことが多い」

 

「人間がアトリエで組み立てたもの弱々しい。本当に人を感動させるものは自然の中にふんだんにある」

 

「(柿右衛門様式について)窮屈は窮屈だが、私が暴れるだけの広さは十分にあるし、何より奥が深い」

 

柿右衛門に限らず伝統工芸を引き継ぐものは、その伝統の中で自分の色を出して次の世代の伝統につなげるという実に過酷な運命を背負っているんだなあと改めて思いました。

色つけの染料一つとっても、時代とともに代々引き継がれた配合だけでは不可能になってきているので、新しい材料や配合を見つけていかなければいけないそうです。

どこかの寺の銅葺き屋根が壊されると聞いてもらいに行く苦労も初めて知りました。

だからこそ、その苦しみの中で生まれた作品は、人を魅了するのかもしれません。

 

今回改めて、アートについて知ってるつもりで実は知らないことが多いことも再認識。

「とにかく本物にふれる。」

今年はもっとその機会を増やしたいと思います。