昨日の「雑貨展」に続き、六本木ミッドタウン、アート巡り第二弾。
今日は新国立美術館で3月16日から開催されているデザイナー三宅一生の作品を展示した「ISSEI MIYAKE展」の紹介です。
わたしにファッションの展覧会の面白さを教えてくれたのは、ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館」。ここでは、工芸品を中心にデザインや現代アートが収蔵され、昔の雑貨や服なども工芸品ということでみることができますが、企画展としてファッションの展示をよく行っています。
例えば昨年行われた「アレクサンダー・マックウィーン展」。
服といえば、日常着る服を思い浮かべますが、それ以外にその時代を映し出す立体アートだと思い知らされました。
芸術といっていいほど完成された美の服にただただ驚くばかり・・カルチャーショックを受けました。
そして、「三宅一生展」。
日本を代表するデザイナーの今までのデザインの数々が並ぶとあってこれば見逃せないと行ってきました。
残念ながら写真が禁止だったので、作品を紹介できませんが、個人的な感想を述べると、「美」と「機能性」を共存させたデザインが特に印象的な展示でした。
会場は3つのゾーンに分かれています。
三宅一生の初期の作品が並ぶAゾーン、Bゾーン。1970年代、これまでの服の概念にとらわれない新しい発想の服は今見ても新鮮です。
時代とともに変わるファッションの世界で普遍性を追求することはとてもむずかしいと思いますが、少なくとも三宅一生の作品は今でも通用する普遍性を感じました。
そしてCゾーン。
ここで、更に三宅一生の服は決して飾るだけ見るだけの衣装ではなく、あくまで人が着ることが前提となっており、その服を着ることで、新た強い現実を作り出すという想いを感じるゾーンです。
特に印象的だったのは、あの有名な「プリーツ」がどうやって作られるか、織機を展示して解説があったこと。
「プリーツ」がどんな服かわからない方はこちらをみてね!
ISSEY MIYAKE INC. | ブランド : PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE
怖いくらい簡単にいうと、生地全部が5㎜くらいの細かいプリーツになっていて、軽いうえにシワにならないので、旅行にも便利で世界的に大人気のデザインです。
わたしに限らないと思いますが、この展示をみるまでは、プリーツになった生地を服にすると思っていた人が多いのでは?それが、そうではなくで、服としてカットされた生地をプリーツにしていくことがわかりビックリ!
プリーツにするということは、細かくたたまれていくので、当然生地が小さくなります。
その小さくなることを考慮して、生地にプリントをして裁断するわけです。
いままでのデザインの発想から大きく前進した、ファッションの新しい一歩といっていいと思います。
それから、「A-POC」シリーズ。こちらはコンピュータを用いて、一本の糸から一体成型で服をつくりだす製法です。まるで昔の紙から切り離して使う着せ替え人形の服を思い出しました。
ちなみにA、Bゾーンの空間デザインは吉岡徳仁さん。面白いなあと思って眺めていた段ボールのマネキンのデザインも吉岡徳仁さん。とってもカッコいいマネキンでした。
一方Cゾーンはグラフィックデザイナーの佐藤卓さん。
グラフィックデザイナーとは思えない見事な空間デザイン力に脱帽。
凄い人は凄いなあ!
ファッションといえば、流行を追いかけるだけのものと思っている方。是非この展覧会を見てください。
ファッションは完全にアートです。現実世界に根を下ろしたアートです。
そして芸術です。
現代日本が世界に誇る「ISSEI MIYAKE」の作品を、同じ時代を生きているものとして身にいきませんか?
既に終わったものもありますが、これから締め切りのトークイヴェントがまだあります。またワークショップも開催されるとのこと。
興味がある方はいかがですか?
1)「三宅一生の感覚」
話し手:佐藤 卓(グラフィック・デザイナー)、深澤直人(プロダクト・デザイナー)
2)「Nobody Knows」
話し手:高木由利子(写真家)、田根 剛(建築家)
3)「小さな驚きを与え続けること —三宅一生のテキスタイル創り—」
話し手:皆川魔鬼子(テキスタイルデザイナー、株式会社 イッセイ ミヤケ 取締役)