たまたま立ち寄った場所でたまたま開催されていた展覧会。
何気なく扉を開けて、何気なくみていくうちに引き込まれていく。
今日紹介する~マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展~はわたしにとって思いがけず発見した真珠のような展覧会でした。
きっかけは、昨日、九段下にある「イタリア文化会館」の入り口でみかけたこの看板。
用事が思ったより早く終わったので、「母をたずねて三千里」の文字の懐かしさに誘われてのぞいてみました。
みなさんは、この「マルコの世界」の原本「母をたずねて3千里」って知っていますか?
オリジナルはイタリアの小説ですが、1970年代にTVで放映された「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」などと同じ世界名作劇場アニメの一つ。
内容は少年マルコがイタリア ジェノバからアルゼンチンに出稼ぎにいったっきり音信不通になったお母さんを探しにいく旅の話です。
そのアニメのキャラクターデザイン、作画監督を務めたのが「小田部羊一さん」。
あのハイジのキャラクターデザインを担当した方でもあります。
今回の展覧会では小田部さんのキャラクターを作り上げたデッサンを中心に展示されていました。
そして・・・一緒にアニメを作り上げた蒼々たるメンバー。
宮崎駿さんによるレイアウトや高畑勲監督による絵コンテ、椋尾篁美術監督による背景画なども展示されていました。
知ったかぶりをして書きましたが、もちろんわたしはそんなこと全く知らずに扉を開けて、その世界の奥の深さに驚きました。
本当にシンプルな一本の線。
でも今にも動き出しそうな線なのです。
驚きました。
言葉では言いあらわせませんが、この線をみて泣きそうになりました。
線をみてここまで感動したのは初めて!
同じピアノの音でも素人が弾くドレミとプロとでは全く異なる感触でしょうか?
こちらはレイアウト担当した宮崎駿さんの原稿。
これも線が凄かった!
椋尾篁さんの 背景画
PCも何もない時代に一本のペンから始まったアニメ。
大勢の人の情熱と苦労が伝わってきました。
そしてそれをテレビでみていたころの自分を思い出して、ウルウルしてしまいました。
後でわかったことですが、この「マルコの世界」は昨日が最終日で、わたしが行ったのは閉館の1時間前。
本当にラッキーでした。
そして、これも後でわかったことでしたが、会場で「お名前を書いていってください!」と声をかけてくださった方こそ「小田部羊一さん」ご本人でした。
わたしのバカバカ!
小田部さんはこのほかにもポケモンキャラクターのデザイン監修やマリオなどの監修もされていたらしい・・・
こういう方が日本の文化を支えていると思うと、もっと世に出てほしいとしみじみ思いました。