現在、東京六本木の国立新美術館と森美術館で開催されている「サンシャワー〜東南アジアの現代美術展〜」に行ってきました。
あなたは東南アジアの現代美術を見たことありますか?
わたし自身の経験でいうと、10年以上前、マレーシアのクアラルンプール国際空港で偶然見つけた地元のアーティストが描いたアートがとっても気に入って、購入して帰ったことがあります。
小さなアートですが、今でもうちのミニギャラリーで存在感ある作品の1つです。
東南アジア等に旅行に行っても伝統工芸はあっても、現代アートを見る機会はほとんどないので、この時初めて自分の無知さを知りました。
日本のことだと、浮世絵より「今、現在進行形のアート」の存在は当然のこと。今更、存在を意識することなどないのに、国が異なると改めて「現代アートもあるのね!」などど思ってしまった自分を恥ずかしく思いました。
今回のこの美術展は一般の人がなかなかふれあう機会がない東南アジアの現代美術を実際に体験するとてもいい機会です。
前書きが長くなりましたが、実際の美術展の様子をかいつまんで紹介しましょう。
ASEAN10カ国の作品が大集合
東南アジア、正確にASEAN加盟国10カ国のいろいろな作家のいろいろな作品が展示されています。
知らなかったのですが、ASEAN設立50周年のタイミングだそうです。
そして、今回は第二次世界大戦後、植民地からの解放運動や内戦など政治的にも混乱した時代を経て、経済が成長し始めた1980年代以降の作品が集められていました。
タイトルの「サンシャワー」とは日本語で「天気雨」のこと。
行った方はわかるとおもいますが、この東南アジアではよくみられる気象現象で、歴史的な紆余曲折の過去をもった国々を表す言葉としてつけられたそうです。
さて、始めに書いたように、この美術展は国立新美術館と森美術館の2ヶ所に分かれて展示されています。
まずは国立新美術館へようこそ!
入ってすぐに、地図をモチーフにした作品がいくつかでてきます。
そして、次にこのような作品が並びます。
何気なく見えるこれらの作品ですが、東南アジアの国々の権力への戦いの歴史、民主主義への道のりを象徴した作品です。
遠くからみると赤い綺麗な灯りてますが、これは慰霊の灯りの集まりです。
これはジャンケンではなく、指で「民主主義」を表した作品の一部。
最後の写真だけ指が縄で縛られているのが象徴的です。
「うーん!」とうなされたのがこちらのミャンマーの「ティン リン」さんの作品。
アウン=サン=スーチーさんで有名な民主化運動で投獄された中、古い囚人服に書き続けた作品が数点、展示されていましたが、何ともいえない迫力がありました。
こちらはカンボジアのポルポト政権下で手紙の運び屋として使われた子どもの写真です。そこに現代の子どもたちの写真を同じ仕上げで、一緒に並べることで、やるせなさと希望が混在する作品になっています。
もちろんそんな政治的な作品ばかりではありません。
子どもたちへのアート教育の取り組みも作品として展示されています。
また、マレーシアのマラッカの写真館の協力で作られたたくさんの家族や人々の写真は圧巻でした。
市井の人々の何気ない暮らしは世界中どこも変わらない〜
改めて教えられた気がします。
このあたりは、まさに現代アート。
すそ野の広さを感じます。
印象的だったは、この作品。
たくさんの糸の海でみにきていた女の子たちが戯れている姿が楽しそうで 可愛くて、みているわたしまでうれしくなってきました。
ブーツじゃなきゃ、わたしも入ったのになあ〜
さて、次の森美術館ではどんな作品が待っているのかな?