ハイブランド編 第三弾は「エルメス」の登場です。
昨年と同じ会場を使ったヴィトンと異なり、エルメスは今年会場を変えての展示でした。
ただ、明るい印象だった昨年とは対照的に、まるでレンブラントの絵画をみるような素晴らしい光の演出が印象的で、鳥肌がたつほど素敵でした。
入口は、とってもシンプル。ある意味「エルメス」らしいファサードです。
さらに進むと、何ともないスペースでみんなが休んでいます。
「アレッ?タイル?」
そう思いつつ進んでいくと・・・「タイル」
暗い場内にいろろな色のタイルの壁に囲われたブースがいくつか点在しています。
一見、なんということない100㎜角のタイルですが、窯変の色むらも含めてとっても奥行きのある色の世界が広がっています。
きっとハンドメイドで作られたタイルなのでしょう?
中に入ると階段を上手に使って、エルメスの商品が展示されています。
驚いたのは天井のスリットの使い方。
上から光が差し込んでいるのがわかりますか?
こちらの写真をみていただければわかると思います。
天井を作り、更に効果的にスリットいれ、そこから光を差し入れています。
こうすることで、壁面に光のアクセントができ、空間に遊びが生まれています。
光の加減も絶妙で、商品を照らす光より赤くなり過ぎないようしてあり、それぞれの商品を際立たせています。
あえて、照らし過ぎない商品もあります。
ネイビーと白いタイルの対比も美しかったブース
こちらは天井が高いブース。
光のあたりかたによって、グリーンの見え方が異なります。
タイルを背にした陶器の色合いも絶妙です。
何ともまあ、贅沢な空間の使い方!
ファブリックが無造作に壁に掛けらられています。
欲しい!!!!!
この美しい陰影は各ブースの外。通路にも彩を与えてくれます。
中には、内と外のタイルの色が異なるブースも・・・
さて各ブースをみて、戻ると先ほどのタイルのコーナー。
ただみんな疲れて座っているのかと思いきや、無料でエスプレッソかコーヒーなどを振る舞ってくれていたので、このタイルモジュールの中で一休みしていたのでした。
もちろん、私たちも一休み・・・
それにしても、美しい陰影の世界。
その陰影によって際立つ光の優しさ・美しさ。
そして、そんな3D絵画をみているような見事な空間の中に、贅沢にディスプレイされた商品たち。
計算しつくされた空間デザインの素晴らしさを見せつけられた気がして、変な感じですが「プロってすごいなあ!」と凹みました。
帰ったら、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読み返さねば・・・
日本人の生活から消えた陰影をもう一度見直したくなりました。
「エルメス」のデザインに対する深い真摯な姿勢はだけでも、見習わなきゃ・・・