今回紹介する廃校を利用してできた「かたくりの宿」
ここでの宿泊体験はある意味、「何も無いって何?」「不便って何?」「見落としているものは何?」「時の流れって何?」といった疑問を自分自身に投げかけてくれました。
そして、大げさでもなんでもなく、そこで過ごす時間がその空間と一体化した自分自身のアート作品になった気がしました。
1)「かたくりの宿」って?
「大地の芸術祭」はタイトルに「越後妻有」とあるように新潟県の津南町と十日町市を中心に作品が点在しています。
紹介したようにその作品のほとんどは自然や集落とのコラボレーション作品なので、広範囲に渡っているため、一日で全て見ることは不可能です。
全てみるには1週間くらいかかるかもしてません。
そんな中、私たちは何とか1泊してまわることにしました。
そして友人が予約してくれた宿が、これから紹介する「かたくりの宿」です。
不覚にも折角正面から撮った写真を間違って消去してしまったので、HPの写真をお借りました。
ここは廃校になった小学校の分校をリノベしてできた宿泊施設で、日経の特集で全国2位に選ばれた宿です。
正直友だちに任せていたので、廃校跡の宿という本当に大雑把な情報しか持たずに宿泊しましたが、素晴らしい宿だったので、ここで紹介させてください。
暗くなって到着したので、翌朝の写真ですが、こちらが宿への入り口。
奥に見えるのが校舎で、看板の後ろが校庭です。
学校の名残がみえる入口はこちら・・・
この学校自体は明治17年開校ですが、新潟県と長野県の県境の豪雪地帯。極へき地だったため「義務教育免除地」(そもそもそんな制度があったこと自体知りませんでしたが)に指定されていたそうです。
その後昭和7年にここに校舎が建てられ、改めて開校したそうですが、平成4年に閉校になったそうです。
中の写真も撮れなかったので、後でHPをみていただきたいのですが、天井が素晴らしい体育館はパチリ!
釘を使わずに木材だけで組まれた梁が見事で目を見張りました。
ここでは、卓球やボール遊びなどもできます。
2)わたしを胃袋を虜にした食事たち
もと校長室の温泉のお風呂屋、館内のいたるところにかけられたアートや野の花など、本当に隅から隅まで心行き届いた宿ですが、ここで一番感動したは何と言っても食事の素晴らしさでした。
胃袋を捕まえられると人間、惚れてしまいます。
地域の直売所で調達したり、自家栽培で取れた野菜や、付近で取れた山菜を中心に作られた食事は身体に優しくて美味しいものばかり。
こちらが晩御飯にでた前菜。
丸太をお皿代わりに、彩も美しく盛り付けられています。
「コリンキー」「夕顔」等々、普段口にできない食材たちが、その持ち味を生かして上手に調理されています。
近所のお母さんたちに教えてもらった料理もあるそうです。
食べるコーンスープはほんのり甘く、冷たいので、スルスル喉を通っていきます。
こちらがメインの行者ニンニク入りポテト春巻きとつなんポークの南蛮漬け。
ここに来るまでここ津南町が豚の産地であることを全く知りませんでした。
実際初めて口にした感想は、臭みが全くなく、柔らかくとても食べやすい豚肉で、ビックリしました。
驚かされたといえば、最後のデザート。
この綺麗なピンク色はシソの色。
見た目の綺麗さだけでなく、甘酸っぱい味とシソの香りに心奪われました。
ここであらためてお品書きを紹介すると・・・
いかに珍しい野菜がふんだんに使われていたかわかっていただけますか?
写真はないのですが、これに越後の地ビールと越後といえば日本酒。
文句なしの食事になりました。
続いて翌朝の朝食がこちら・・・
こちらも多過ぎず少な過ぎず・・・身体に優しい献立が並びます。
そして、ご飯が美味しかった!
その理由はもちろんコメどころ新潟。美味しいお米だからというのが一番かもしれませんが、ここはお水が最高に美味しい場所でした。
3)本当の天然水の味は絶品だった
「津南の天然水」という名前でコンビニで売られているほどなので、このあたり一帯はお水が美味しいのは認識していましたが、この宿のある結東地域は更に水が美味しい気がしました。
タンクに用意してくれていた水のまろやかで美味しいことといったら・・・
久しぶりに水を美味しいと感動して飲みました。
その水のせいでしょうか?こちらもフリーで飲めるように用意してくれていたコーヒーもとってもまろやかで美味しいコーヒーでした。
水については、翌日学校の近くを散策して、更に納得!
驚くほどきれいな水が流れ出ていました。
4)ここでアートのご紹介
ここでそろそろ、この宿に展示さていたアートを紹介。
驚くなかれ、ここもなんと2作品のアートの会場でした。
その一つがこちら・・・
左手奥に見えるブルーのライン。
近寄ってみると・・・・
廃校のプールに中に作られてた作品で、このガラス面に水が流れています。
本間純さんの2003年の作品「Melting Wall」です。
水の流れを通して揺らいで見える風景。
その左右との違いが今の風景と記憶の風景の違いを写しているようで、面白かったです。
5)宿のまわりの自然こそがアート作品
最後に愛すべきこの山里の写真をご紹介。
部屋からみた校庭
学校前にあったバス待合所
すぐ近くにあった手作りの駐車場案内
学校の裏の草花
秘境秋山郷の名にふさわしい吊り橋
実際、車がないとたどり着けない山奥の宿で、その道もかなり大変でしたが、行くだけの価値がある宿です。
もちろん「大地の芸術祭」期間中でなくても利用できるので、わざわざでも是非脚を運んでください。
絶対期待を裏切らない何かをもたらしてくれる宿です。
次回はもう一つの廃校利用のレストランを紹介します。