あのパリで農園を営んでいる日本人?
それだけでも驚くのに、パリのシェフたちから、絶大なる支持を受けているにも関わらず、その野菜は山下さんがこの人はと思ったシェフにしか卸していないというとんでもない仕事をしている人。
それが「山下農園」の山下さんでした。
情熱大陸にもでたことがあるので、ご存知の方も多いかと思いますが、不勉強なわたしはお会いするまで全く知らずにいきなりお会いする機会に恵まれました。
山下朝史さん
1953年東京生まれ東京育ち。23才でフランスに渡り、勉強して働いて…
それが、農業などしたことがなかったのに、ひょんなきっかけで43才の時にパリ郊外で農業を始めたというから、それだけで面白い。
今回はミニ講演会みたいな感じで山下さんのお話を伺って、その後彼の作った野菜をイタリアンのシェフが調理して実際に食べられるという贅沢な会でした。
もしわたしが料理のプロだったら、野菜についていろいろ語れるでしょうが、残念ながらその分野ではただの消費者。
そんなわたしが敢えてこのブログで紹介したのは、山下さんの話の一説が心に残ったから…
まず一つ目は、
「よく「愛情込めて野菜を育てている云々」と言われるけど、愛情なんか込めていません。
そんなことをしてもいい野菜は取れません。
これは仕事なので、手間はかけますが、愛情はかけません。」
手間をかけて心を込めてその成長を見守る。
でも愛情なんか込めていたら、いい野菜は育たない。
驚いた!
でも言われてみれば、真理です。
そういえば先日偶然みた「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介されたダリヤ育種家の鷲澤幸治さんも全く同じことを言っていた
、
甘えのないプロの仕事を見せられた思いです。
自分の仕事への取り組みを振り返って、思うところがたくさんありました。
2つ目は自分なり商売の流儀を貫き通していること。
自分から売り込むことはなく、その時採れた野菜を時価でレストランに卸しているそうです。
シェフたちは何の野菜が届くかは山下さんが持ってくるまでわからない。
大急ぎでその日のメニューを決めなければいけないので、大変です。
それでも、山下さんの野菜を仕入れられるシェフは両手の指でも余るほど。
惚れさせるような仕事のあり方は、フリーで仕事を受けている自分にはズシリと刺さります。
この話だけ聞くとキツい人に聞こえますが、実際お会いしてお話しした山下さん本人は魅力的な方ですっかり虜になりました。
因みにこちらが山下さんの野菜で作ったお料理の一部。
アオリイカと山下さんを一躍有名にした蕪を使った料理。
蕪の味が濃い。
今まで食べたことのない味。
蕪ってこんな味だったんだね。
こちらは春菊が添えられていました。
春菊は苦いという思い込みをすっかり振り払ってくれる味でした。
左側が山下さん。
右側は今回お料理を作ってくださいった「エルティスキ」の前田シェフ。
仕事のあり方を考えさせられたら、3時間でした。